薪の種類別の焚き火を楽しもう
焚き火を楽しむために、薪選びはとても重要な要素なのですが、意外に薪の種類にこだわっていない人が多いのはとても残念でもったいないことです。
焚き火をこよなく愛する私としては、一度、薪の種類を変えて焚き火を楽しむことをお薦めします。
木を燃やすことで炎や煙が異なるのは、身近な所では燻製を作るスモークチップでよく知られていますね。
桜の木のチップが香りが強く美味しく出来上がる!とか、りんごの木のチップは甘みがあり香りが良い!なんてよく聞くのではないでしょうか。
皆さんも一度はスモークした燻製品は口にしたことがあるでしょう?
チーズやソーセージの燻製。美味しいですよね。
燻製で「味」や「香り」の違いが出るように、焚き火でも、たくさんの違いを楽しめる訳です。
それぞれの薪の種類別の特徴を知っていると、
自分がどんな焚き火を楽しみたいかで、その都度薪選びをすると言う楽しみもできるということがわかっていただけましたか。
えっ、木なんてみんな燃やせば一緒じゃないの!て言う方、さっきの燻製の例で説明しましたよね・・・・
まだ半信半疑の貴方のために、もう一つ例をあげてみましょう。
日本には古来から木の燃える煙の香りを楽しむ文化や方法があった!
日本に古来から伝わる「香道(こうどう)」って知っていますか?
香木(沈木、伽羅など)を燻してその香りを楽しむ伝統的な文化です。
唐の国から伝わった?昔のお公家さんがよくやっていたやつですね。
香道では、香木の香りを聞き、鑑賞する聞香(もんこう)と、香りを聞き分ける遊びである組香(くみこう)の二つが主な要素であるそうです。
写真;日本香道HPより引用
あるじゃないですか〜。はるか昔から木を燃やして出る煙を楽しむ習慣が。
しかも、煙の香りを「嗅ぐ」んじゃなくて、香道では香りを「聞く」と言うんですね。日本人ってすごい!。言葉の使い方が本当に奥ゆかしいですよね。
ですから、私も焚き火では、燃える木の香りや炎を「聞く」わけです。
薪の種類の違いで楽しめるポイント5
では、焚き火で「聞く」代表的な楽しみ方をあげてみましょう。
❶燃え始めるまでの着火性
❷炎の色合いや揺らぎ
❸薪の爆ぜる音
❹煙の薫り
❺機能性(熱量・火力維持)
こんな所でしょうか。この違いは、本来、木自身が持っている性質で変わってくるようです。
油分を多く含んでいる木はよく燃えて炎も大きいですし、果樹系の木はやはり少し甘い香りがする訳です。
皆さんがよく知っている木では「松の木」があるのではないでしょうか。
松の木は松脂(まつやに)といって、よく燃える油分を豊富に含んだ樹液を出します。
燃え盛る炎が必要な場合に多用されるのですが、その代表的なものに松明なんてありますね。
お正月にお寺の山門に掲げられているあれです。
松の木は炎が強く、しかも長く燃え続けるから松明のような明かり取りとして抜群の力を発揮してくれます。
しかし、松脂が燃えると石油が燃えたような匂いや黒い煙が出るので、香りを楽しむ焚き火や、料理に使用するのは向いていません。
このように、❶〜❺までの特徴を踏まえた上で、薪を選び、焚き火を楽しむと上級者の仲間入りという訳です。
先に原木となる樹木の違いを理解しておこう
一般的には、葉の先がとがり細いのが針葉樹、扁平な形の葉が広葉樹と区別します。(イチョウなど平たい葉を持つ針葉樹もありますが・・・)幹は、針葉樹が比較的まっすぐ伸びるのに対し、広葉樹は曲がりくねったり枝分かれしていることが多いようです。
木の中の組織としては、針葉樹の組織が90%以上が吸い上げた水の通り道である仮道管で占められていため材質は柔らかめ。
だから木材関係者は針葉樹のことをソフトウッドと呼ぶそうです。
一方、広葉樹の組織は複雑で、細胞の種類も多く水分の通り道は主に幹の表皮にある道管が担い、木を支えるのは表皮の内側の木部繊維であり、それらは硬いものが多いのでハードウッドと呼ぶそうです。
ソフトウッドとハードウッドという通称だけで木の特徴がイメージできますよね。
一言で説明すると、
■針葉樹(ソフトウッド)は燃えやすいけど火持が悪い。
■広葉樹(ハードウッド)は燃えにくいけど一旦火がつくと火持がいいということです。
お薦めの薪8選と種類別お薦めポイント
ではいよいよ薪の種類別の特徴とお薦めのポイントを説明していきましょう。
薪の元となる原木には、先ほど説明したように針葉樹(葉っぱが松葉のように細い)と広葉樹(葉っぱが広い)の2種類があり、それぞれ成長速度などが違うため木の繊維や目のつまり具合、それによる目の詰まり方、火の持ちなどが違ってきます。
一般的に言われている特徴をそれぞれ木の種類別にまとめてみましたので、それぞれを試してみて、自分のお気に入りの薪を探す参考にしてみてください。自分好みの薪がきっと見つかりますよ。
各種類の薪にアマゾンの購入先を添付しておきますので、薪比べをしてみたい方はこちらでどうぞ購入してみてください。
1:ナラ (広葉樹)
オーク材を使った机だとか椅子とかよく聞きませんか?このオークは高級木材として呼ばれています
ナラの木はいわゆるドングリの木。手に入りやすく燃焼時間が長いナラは、非常にバランスが良く、
焚き火好きに最も愛されている薪の王様と言える薪です。暖炉用に最もよく使われるのはこの薪ですね。
特徴
・火の移りも良いので細い枝から着火することも可
・火持ちがいいので灰も少なくできます
ナラ薪100%【岩手県産】 安全高品質な天然乾燥薪 長さ30cm ダンボール箱入り1箱20kg
2:カシ (広葉樹)
この薪もナラと並び、薪の王様とも呼ばれているほどすごい木です!!
とにかく目が詰まっていて、めちゃめちゃ硬い。そしてとにかく重い。
ある意味斧で割ったりするバトニングがしにくいキャンパー泣かせの木ではあります。
ただこのカシは硬くて着火がしにくい分、一度ついたらその火力や持ちなどはトップクラスと言われています!!!カシの木は成長と乾燥に時間がかかるので、流通が少なくお値段は高めです。童話で出てくる、鼻の伸びる「カシの木モック」のカシですよ。
特徴
・着火がとにかくしづらく、乾燥している薪は割りにくい
・火力と火持ちがかなりいいので長時間の焚き火にお薦め
・煙が出にくく火力が強いので料理にはおすすめ
竜王薪おやじ 種類 樫 薪 容量45L 徳島県産 長さ 40cm ダンボール箱のサイズ 110
3:クヌギ (広葉樹)
クヌギもナラと同様に広葉樹の仲間でナラ・カシ同様に高級木材としても有名です。クヌギの良さは火の付きもよい上に、さらに火持ちもいいので焚き火には最も向いている木だと言えるかもしれません。
カシと同じく、硬く密度が高いため非常に硬いのですが、カシに比べて成長が早いことから、昔から薪用として植林されてきたようです。ススや煙も少なくジワジワと燃え、ほのかな香りも心地良い薪です。
まさにキャンパー喜ばせの薪ですね。昆虫マニアにはカブトムシやクワガタの集まる木としても有名です。
特徴
・火の移りも良いので細い枝から着火することも可
・火持ちがいいので灰も少なくできます
4:サクラ (広葉樹)
よく燻製とかに使われているのがこのサクラです。燃やすといい香りが立ち上がり、細く割りやすいのも特徴です。
火持ちはカシやナラのように長くはありませんが、雰囲気を楽しむという点ではピカイチになります。
ちょっと大人なムードの焚き火に向いている感じですね。火と煙の香り、ムードを楽しむことのできる木です。
サクラは花も人を楽しませてくれますが、薪になっても更に人を楽しませてくれる素晴らしい木ですね。
特徴
・燃やすといい香りが立ち上がる
・火持ちはカシやナラにのように長くはないが雰囲気を楽しめる
・細く薪を割ることができる
⭐️桜の木の薪に関してより詳しく知りたい方はこちらを
5:ケヤキ (広葉樹)
ケヤキは乾燥すると非常に硬くなり薪割が大変でなかなか割ることができません。着火もしづらいのでキャンパー泣かせなのですが、一度ついてしまえばゆっくりと燃えて火持ちはかなりいいです。炎は青みがかっていて美しく、ファンの多い薪です。
街路樹として非常に多く植えられている木の一つです。ちなみに、欅坂48のケヤキですよ。
特徴
・繊維が複雑なので薪が割りにくい
・一度着火さえできれば長時間燃えてくれるので経済的
竜王薪おやじ 種類 広葉樹 ミックス 薪 容量45L 徳島県産 長さ 40cm ダンボール箱サイズ 110
6:スギ (針葉樹)
一番低価格で購入できるのがスギの薪だと思います。ホームセンターやキャンプ場で販売されているのもスギが一番多いでしょう。
割りやすく火起こしも簡単にできてしまい、フェザースティックなどのバドニングを楽しむにも向いていると言えます。
私は、間伐材として出るスギの木をいただいていつも愛用しています。ただ煤が残りやすく燃え尽きる時間も短いというのが難点。
長時間焚き火を楽しみたいなら、できるだけ太いまま使う方が良いでしょう。
または最初の火付けにだけ使い、後半は他のながもちする木に変えていくのも上級者ぽくていいですね。
特徴
・一番低価格でもっとも販売されている薪のひとつ
・火おこしが簡単だが、燃え尽きる時間が早い
ソロキャンプ コンパクトストーブ用 針葉樹の薪 長さ17cm 約30個 宅配80サイズ
7:ヒノキ (針葉樹)
日本を代表する高級木材のひとつですね。檜風呂とか。総檜とかは高級なイメージです。
スギと同じように針葉樹なので火の付きは良いのですが、火の持ち時間は短いので、この木も焚き火の最初に火付け用に使うといいと思います。
短時間の焚き火を楽しんでサッと帰りたい私のような焚き火マニアには、ヒノキはすぐ燃えて灰が少ないので後片付けも簡単にできて、逆に良い薪と言えるのですが。
また、ヒノキは独特の香りがするのでアウトドアインテリアとして置いておくのも通好みでいいかもしれませんよ。
特徴
・灰がすくないので後片付けも簡単
・火持ちは短いので着火剤として使うのが一番
8:流木を拾ってくる(木の種類は確認困難)
えっ?どういうこと?と思われるかもしれません。結構面白いのが海岸線に行き、流木を拾ってくるんです。
かなり沢山ありますよ。打ち上げられて月日が経っているものは、既にいい感じで乾燥していてすぐに薪として使用できるでしょう。
木の種類は素人にはすぐには判断できないので、燃やしてみてのお楽しみ。異国から流れ着いたものかもしれませんので、遠い彼の国を思いながら炎を見つめるのもロマンチックでいいものです。
※ただ、この場合、木の種類がわからないので煙を吸った時に気分が悪くなるなどしたら直ぐにやめてください。
可能性は低いですが、ハゼの木やキョウチクトウなど木に毒性のあるものを燃やすと煙にも毒性が残ってしまうものもあります。あくまでも自己責任で。
圏外:マツ (針葉樹)
木の中に脂が入っているので火力がかなり強めです。そのかわりスギやヒノキと同様で燃え尽きるまでの時間がとても短くなっています。
火力も強いですが、その分ススや煙が出やすく、なんあか石油を燃やしているような感じになりますので、着火用程度に使うならいいでしょうが、焚き火や料理に使うのはお薦めできない木ですね。
火力強いので昔から、篝火や松明に使われることが多いです。
特徴
・脂が入っているので高火力
・燃え尽きる時間が短く、煙が多いのが特徴です
松の木はあまり市販されているのをみたことがありません。試してみたい方は、海岸や風の強い所に防風林として松林があることが多く、結構選定されて放置されている枝があったりしますので、それを少し使わせていただくのもいいと思いますよ。
まとめ
焚き火を楽しむための薪8選(松は別)はいかがでしたか。
百聞は一見にしかず。一度試してみてくださいね。
お薦めは、針葉樹から1種、広葉樹から1種を選んで同じ日にもやし比べをすること。
燃え方や煙の出方、火の持ちなどはっきり違いが分かって面白いですよ。
最後に実際にどんな感じで違うのかを動画で見てみましょう。
今回は、杉の木、桜の木、樫(かし)の木の3種の薪の比較をしてみました。
流石に香りは伝わりませんが、その燃え方や音の違いはわかっていただけるはずです。