焚き火の楽しみ方の一つに、薪の樹種別で焚き火をして、その樹種ならではの炎の立ち姿、煙の香り、火持ち、爆ぜる音などの違いを楽しむというのがあるのを知っているでしょうか。
このことを知らなかったら、何も考えず手に入る薪を焚べるだけの焚き火になってしまっていたでしょう。
樹種による薪の性質の違いやその楽しみ方は→こちらの記事を参照ください。詳しく説明しておきました。
ここでは、数多くある樹種の中でも私が一番試してみたかった「桜の木」の薪で焚き火をしてみた感想をお話ししましょう。
動画でも撮っておきましたから具体的に見ていただけますよ。
桜の木の薪の性質から知っておこう
まず基本的な知識を入れておきましょう。
樹種には「広葉樹」と「針葉樹」の2種類があります。一般的に広葉樹は成長に時間がかかるため目が詰まっていて重く(比重が重いと言います)、とても硬く、燃やすとなかなか着火しなくて、いざ燃え始めると長時間燃え続けるという性質があるため、焚き火や暖炉の薪としては最良の薪と言われています。一方、針葉樹は成長が早く目が荒く、樹脂も含まれているためとても燃焼しやすい性質があります。
ただ、一気に燃えすぎて火持ちが悪いため、長時間の焚き火や暖炉用の薪としては向いていないでしょう。
ただ、着火性が高いため最初の火床作りには最適な樹種と言えます。
今回紹介する「桜の木」は広葉樹に属します。
ここではいくつかの項目に沿って説明していきましょう。
桜の薪の重量や目の詰まりぐらいは?
桜の木の樹種である広葉樹は別名「HARD WOOD」といい、とても硬くて重い樹種と言えます。ゆっくりと成長していくため、年輪が詰まっているのと、水を吸い上げる管が幹の中ではなく樹皮の中にあるため、管で木の中がスカスカになる恐れがないのです。
ノコギリで切断してもその目の詰まりぐらいは一目瞭然で、薪同士をぶつけるとカキンカキンと金属のような硬い音がします。
そのため、薪割りをやろうとすると硬くてなかなか刃が食い込まず割るのにとても苦労します。
割った切り口も、杉のような綺麗な木目になっているのではなく、固形物が割れたような割れ口で荒い感じがするのです。
重量は、乾燥具合や大きさにもよるので表現しにくいのですが、一般にホームセンターで販売されている薪は杉の木の薪ですが、その杉の薪の2倍程度の重量があるのではと思います。
着火性や燃え具合、燃焼時間は?
桜の薪は最初はとても燃えにくいです。余程細く割れば着火しないこともありませんが、桜の薪で最初から焚き火を始めようとしない方が良いでしょう。
やはり桜の薪はじっくり燃やす薪として太いまま使用するのが一番です。
そのため、最初の着火用には杉のような針葉樹の薪を使い、火が起こったところに太い桜の薪を投入することをお勧めします。
動画を見ていただければ分かりますが、最初燃えにくい桜の薪も、一旦火がついてしまえばじっくりと炎を出しながら長時間燃え続けてくれます。
これは感覚値ですが、同じ量の杉と比べると3〜5倍は長持ちするのではないでしょうか。
炎は勢いはありませんが、一定の炎を長時間出し続け、最後に熾火になるまで炎を出して燃え続けてくれます。
焚き火の魅力の一つ、燃えて爆ぜる音は?
静まりかえった自然の中で、燃えながら薪の爆ぜる音を聴いていると本当の心身がリラックスしていくのを感じることができるものです。
桜の木の薪は、その面では少し静か過ぎるかもしれません。
時折、パチパチと小さく爆ぜますが、上品な音なのです。
ただ、杉の木のように派手にパチパチと音がするよりも風情があり私は好きですね。
それに、爆ぜる際に、まだ真っ赤に燃えている炭の粒を飛ばしてくるのでその危険性も少ないのが良いです。
煙の香りは?
桜の木の薪は、ほんのりと桜の香りがすると言われています。
チーズや肉をスモークする際に桜の木のチップを使うほど、桜の木の煙は香り付けに良いようです。
余談ですが、北海道の知り合いから聞いた話では、北海道に住んで住居に薪ストーブがある家庭にお客様をお迎えするのに、桜の木の薪をストーブにくべるのが最高のおもてなしの一つらしいですよ。
ほんのり桜の香りが部屋に顔ってとても気持ちの良い空間になるそうです。
今回、私が試した時には風もあったこともあり桜の香りを感じることはできませんでしたし、煙はやはり煙なのでそんなに吸い込んで気持ちの良いものでもないので少し気持ちの部分もあるのかもしれません。
熾火(おきび)と灰になり方は?
ゆっくりと燃えながら熾火になっていく感じです。
木の質量としては燃えて小さくなりながも、木の形を残しながら熾火になっていきます。
その熾火も結構長時間熾火の状態を保って白い灰にはすぐにはならないので、そこから調理を始めると良い調理燃料になるでしょう。
※写真のように焼き芋にはちょうど良い熾火です。
まだ燃え盛る状態でダッチオーブンやケトルを置くと、真っ黒な煤(すす)が付いてしまい、洗うのが大変ですが、熾火状態だと煤の心配もなく、火力も十分あるので最高のキッチンになるのではないでしょうか。
それでも放っておくと熾火が小さな炭になっていき、最後は白い灰になりほとんど何も残らなくなります。
私はそこまで長時間待つことはできないので、いつも火消し壺に入る量になったら入れてしまいそれで炭火も消してしまいます。
炭はもちろん持ち帰り、庭に撒くようにしています。
【まとめ】桜の木の薪の総評
広葉樹は焚き火や薪ストーブの燃料として最高な樹種と言われていますが、その評価通り桜の木の薪は素晴らしい力を発揮してくれました。
●着火性30点
●火持ち・燃焼力80点
●煙90点
●爆ぜる音50点
といったところです。火持ちや燃焼力、そして香りと言ったところに重きを置く人にとってはおそらく3本の指に入る名薪と言えるでしょう。
残念なのは、そんな素晴らしい桜の木の薪ですが入手が簡単ではないことです。
ホームセンターやキャンプ場では出回りません。何せ元は桜をきれいに咲かせている木ですから早々伐採される樹種ではないのですから当たり前です。
桜並木の枝払いなどで切られたものが出回ることが多いのでしょうか?
一般の方が入手するには、ネット販売が一番お勧めです。
シーズンによってはネット販売でも売り切れ状態の場合がありますので注意が必要ですが。
ここにも入手先を添付しておきますので、興味がある人は一度試してみてください。
信州山桜の薪 容量30L 長さ約35cm 約12kg
¥3250.ー税込